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Press release
2025/12/08

貴金属市場予測 2026年:ヘレウスは価格の再調整を予想

貴金属
トレーディング

金(ゴールド):上昇再開前に調整局面を予想。予測価格:1オンスあたり $3,750~$5,000. 銀(シルバー):産業需要の一部低迷により、変動が続く見込み。予測価格:1オンスあたり $43~$62. プラチナ:市場は供給不足が続く可能性があるが、その規模は縮小。予測価格:1オンスあたり $1,300~$1,800. パラジウム:自動車需要減少により供給過剰が拡大する可能性。予測価格:1オンスあたり $950~$1,500

貴金属業界の世界的リーダーであるヘレウス・プレシャスメタルズによると、金、銀、プラチナ族金属(PGM)の価格は、少なくとも2026年前半は下落傾向になると予想されています。今年、金と銀が過去最高値を記録し、PGM価格も数年ぶりに高騰し高水準に達しましたが、価格を急速に押し上げすぎました。短期的には価格が再び上昇する可能性がありますが、勢いが弱まると調整期間に入る見込みです。中央銀行による金の継続的な買い入れ、根強いインフレ、低い実質金利といった要因は価格を下支えする可能性があります。しかし、産業需要の減速や景気後退リスクはPGMにとって大きな下押し要因となります。

「これほど強い価格上昇の後には、価格の再調整と調整期間が訪れる可能性が高くなります。金は、強い中央銀行需要と好ましいマクロ経済環境に支えられ、最も堅固な基盤を維持すると予想されます。銀は産業分野の逆風により、より変動の激しい道をたどるかもしれません。プラチナ市場は引き続き逼迫しているようですが、供給不足は縮小する可能性があります。一方、パラジウムは、バッテリー式電気自動車の市場シェア拡大に伴い、供給過剰が拡大する恐れがあります。」
— ヘレウス・プレシャスメタルズ トレーディング部門責任者 ヘンリック・マークス氏

地政学的および市場の状況:不確実性と構造的変化

2026年に入ると、世界市場は経済的および地政学的な課題が入り混じる状況に直面する可能性があります。米国や欧州など主要経済圏での成長鈍化、根強いインフレ、財政の不均衡が金融政策に影響を与えるでしょう。中央銀行は低い実質金利を維持すると予想されます。この環境は貴金属への投資需要を支える一方で、産業消費には重荷となります。

地政学的リスクは高止まりする見込みです。米国がロシアからの輸入に対してセクション232調査や反ダンピング手続きを進めているため、PGMがいかなる形で関税の対象となるかは依然不透明です。さらに、バッテリー式電気自動車(BEV)の普及による自動車産業の構造変化がPGM需要を変えています。中国は世界的な需要動向において依然として重要な要因です。経済刺激策は産業活動を支える可能性がありますが、太陽光発電政策の調整は銀需要の成長を鈍化させる恐れがあります。加えて、中国の新しい第14次五カ年計画(2026~2030年)には、グリーン水素や燃料電池技術の推進が含まれており、ルテニウムやイリジウムの長期的な需要にプラスの影響を与える可能性があります。

ヘンリック・マークス氏は次のように述べています:
「貴金属市場は、経済成長の鈍化、地政学的不確実性、自動車産業の継続的な変革によって影響を受ける可能性があります。低い実質金利と根強いインフレは投資需要を支える一方で、高価格と景気後退リスクは産業消費を圧迫するでしょう。2026年前半は変動が激しくなると予想されますが、調整局面が成熟してくればより明確な機会が見えてくるでしょう。」

金(ゴールド):上昇再開前に調整局面を予想
予測価格:1オンスあたり $3,750~$5,000

金は2025年10月に過去最高値となる $4,382 を記録しました。これは強い投資需要と中央銀行の買い入れに支えられたものです。短期的には再び価格が上昇する可能性がありますが、この劇的な上昇の後には、2026年初頭に価格の再調整と調整期間が訪れると予想されます。中央銀行の継続的な買い入れと低い実質金利が、宝飾需要が高価格で抑制される中でも、金価格の堅固な基盤を提供する可能性があります。主要経済圏でのインフレ圧力と財政優位性により、実質金利はマイナスを維持する見込みであり、これは伝統的に金にとって好ましい環境です。

銀(シルバー):産業分野の逆風で変動が続く可能性
予測価格:1オンスあたり $43~$62

銀も2025年12月に過去最高値を記録し、 $58.63 に達しました。この急速な上昇の後、市場はその増加を消化する期間を経て、再び上昇に向かうと見られます。銀は投資フローと産業需要の両方に影響されるため、金よりも価格変動が大きいと予想されます。太陽光発電需要は、コスト最適化の取り組みが加速する中で逆風に直面する見込みで、銀の使用量削減や代替セル設計が進む可能性があります。一方で、ETFや個人投資家による投資需要は価格を支え続けるでしょう。

プラチナ:供給不足は縮小するが、宝飾需要に上昇余地
予測価格:1オンスあたり $1,300~$1,800

プラチナ市場は2026年も供給不足が続くと予想されますが、欧州でのリサイクル量増加による二次供給の増加で不足幅は縮小する見込みです。調整期間が終われば、さらなる価格上昇が見込まれます。自動車需要はBEVの普及で減少する可能性がありますが、宝飾需要には上昇余地があります。

パラジウム:自動車需要減少で供給過剰が拡大する可能性
予測価格:1オンスあたり $950~$1,500

BEVの普及により、自動車触媒向け需要が減少し、供給過剰は拡大する見込みです。一次供給とリサイクルによる二次供給も増加が続くと予想されます。

ロジウム:供給過剰に転じる可能性
予測価格:1オンスあたり $6,000~$9,000

内燃機関車の生産減少とリサイクル率上昇により、供給不足から供給過剰に転じる見込みです。価格は下落傾向となる可能性があります。

ルテニウム:データセンターと水素需要が市場を逼迫させる可能性
予測価格:1オンスあたり $600~$975

AIによるハードディスク技術の拡張やグリーン水素の電解プロセスが需要を支える見込みです。

イリジウム:供給回復が価格上昇を抑制する可能性
予測価格:1オンスあたり $3,800~$5,150

水素や電気化学用途で需要は増加するものの、南アフリカでの生産回復が価格上昇を制限する可能性があります。

ヘレウス予測概要:

貴金属 1オンスあたりの予測価格範囲
金(ゴールド) $3,750 ~ $5,000
銀(シルバー) $43 ~ $62
プラチナ $1,300 ~ $1,800
パラジウム $950 ~ $1,500
ロジウム $6,000 ~ $9,000
ルテニウム $600 ~ $975
イリジウム $3,800 ~ $5,150